プロローグ
2035年――
巨大な世界企業「ベンスレム」が海底で未知のエネルギー資源を掘り当て、
世界はエネルギー資源発掘に沸いた。
無尽蔵とも思えるエネルギー資源にベンスレムらの世界企業は莫大な資産を投じ、
約10年の年月を経て地球上には最先端の技術を結集した11の楽園 が生まれる。
居住希望は殺到したが、選ばれたものだけが暮らせる楽園に人々は憧れを抱きつつ、
今までと変わらぬ生活を送らざるをえなかった。
2047年――
楽園のひとつが遠目に見える距離にあるものの、特にその恩恵にあずかるわけでもない街で、
祇園寺緑道(ぎおんじみと)は、叔父の探偵事務所で探偵助手をしていた。
そこで受けた人探しの依頼。灯りも少ない夜の港の倉庫街で、緑道は不思議な少女に出逢う。